確率過程とはなんぞや
確率過程の勉強をやってきていない(サボッテキタワケジャナイヨ)ので,基礎から入ろうと思う.とりあえず,マルコフ連鎖くらいまでやろうかなと思ったりしてる.
まずは定義から確認していく.
定義
時間の経過とともに変化する確率変数を考える.実数のパラメタの関数で各における値が確率変数であるようなものを確率過程と呼ぶ.
また,確率過程の値は確率変数であるから,形式的には基本事象に依存する,すなわち.これを与えられて確率過程の軌跡,あるいは標本関数と呼ぶ.
確率過程入門 ロザノフ著 佐藤健一 佐藤由美子訳(p.125)より
この本にも書いてある通り、私達が確率過程を観測する際は生じる軌跡の一つと考えることができるのが面白いと思う.次元空間を基本事象の空間として考えることが出来たり,できることが多そうだなと思った(小並感).
次にマルコフ過程の定義を見ていく.
定義
確率過程がマルコフ過程であるというのは,任意の時刻を取ってと定めたとき,確率変数がに依存しないことである.
確率過程入門 ロザノフ著 佐藤健一 佐藤由美子訳(p.126)より
わかりやすく言い換えると,以降の挙動がまでの挙動に依存しないってことですね.
もっというと,どんな時刻をとっても,における状態が分かれば,以降の挙動はまでの挙動に依存しないことがわかる.
ここで,いくつか例を確認していく.
例.ポアソン過程
ある時間の間に起こる事象の数は時刻までに起こった事象の数に依存しない.明らかに,現在の時刻までに起こった事象の数という確率過程はマルコフ過程で,の状態からの状態( > )への推移の確率は
である.
例.ブラウン運動
任意の状態からのブラウン運動粒子の運動は時刻までの挙動に依存しない.条件の下での確率変数,すなわち時刻 > におけるブラウン運動粒子の座標の分布は密度
を持つ.
例を見るとなんとなく実感が湧いてくる.特にブラウン運動はとても分かりやすい例だと思う.他に良さそうな例があれば,追加する.
強マルコフ性について確認しておく.以降のマルコフ過程では,この強マルコフ過程が成り立つものとする.
マルコフ過程が強マルコフであるとは,任意のマルコフ時刻に対して,をこのマルコフ過程の推移確率とするとき,から時間のあとに集合にある条件付き確率がに等しいということである.
マルコフ過程は依存しないだけだが,こちらは推移確率が一致するというふうに強まっていることがわかる.
次にマルコフ連鎖について定義を確認していく.
定義
確率過程においてパラメタをとしたとき推移の連鎖
を扱うことになる.このような型の確率過程を,マルコフ連鎖と呼ぶ.
とりあえず,今回は定義の確認とする.これ以降気になる定理があったら随時更新する.